長時間にわたる過重労働は、従業員の疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられます。月間の時間外労働が45時間を超え、特に80時間を超えると脳血管・虚血性心疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られています。
さらに、時間外労働が100時間を超えると睡眠時間は5時間程度となり、長時間労働によって睡眠時間の確保ができないことが大きな要因で、ストレスや疲労感の蓄積につながり、メンタルヘルス不調の発生頻度を高めまた、脳・心臓血管疾患にも大きな影響があります。
働くことによって従業員が心身ともに健康を損なうようなことがあってはならず、健康障害を伴う働き方は、排除しなければなりません。
その対策として大事なことは定期健康診断とその事後措置の実施。長時間労働者に対して産業医(医師または地域産業保健センター)からの保健指導や助言・指導を受けること。ストレスチェックの適正な実施、集計・分析結果に基づく職場環境改善まで行うことです。
長時間労働の原因となる時間外・休日労働時間を削減するためには、労働時間の適正な把握(管理・監督者についても)を行い、職場全体を通して業務の洗い出しによるムダな作業の見直しおよび削除、業務の平準化、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくり、計画的付与制度の活用等による取得推進などワーク・ライフ・バランス(働き方・休み方)によって、睡眠の確保など疲労が蓄積するのを抑制する必要があります。